DETAIL
nobana 1st lot
アルコール度数：7％
容量：375ｍｌ
原材料：国産の非加熱蜂蜜を使用。
非加熱により収量の効率は落ちるものの、香りが保たれ、微生物も殺菌されることなく使用できます。
製法：酵母無添加、補助剤不使用の自然発酵です。
また木で囲まれた蔵で温度管理機能を持たないので、外の環境の影響を取り入れながら発酵さ
せています。
＊クール便での発送になります。
▼今回のミード醸造にあたって
お酒造りに夢中になったおかげで、ここまでやってこれました。しかし鹿児島に来てからはもう3年が経
ち、様々ななことに直面する中で、一時はもうそのお酒造りはやめようとさえ思ったこともありました。困難のたび、なぜ自分はお酒を造るのだろうかと自問してしまいますが、未だに答えは出ません。
それでも、自分が飲みたいと思えるお酒、自分がエネルギーを貰えるようなお酒は、絶対に今のnobanaの形でしかありえないことには、強い確信を持っていました。
しかしそこにしか可能性がないとして、それが本当に実現できるかどうかはもちろん分からず、先の見えない日々が続いています。
やっと完成した1stロットですが、その醸造だけでも多くの苦しみがありました。
それでも、最終的には愛情と誇りを持てるようなお酒に仕上がったと思います。
まだまだ道半ばではありますが、それでもその道を踏み出したことには変わりありません。
もはや自分のためでもなく、自分のやりたいことを叶えるということでもなく、周囲の人によって生かされていること、そして自分を超えた何かとともにその現実が動いてゆくことが大事なのではないかと思います。
自分が創造するのではなく、今ある現実から立ち上がってくる、諦念とは違うエネルギーがこのお酒の原点です。
▼お酒の特徴
百花蜜とアカメ・トネリコの蜂蜜をブレンドして自然発酵させました。
アカメ・トネリコの蜂蜜は、移住した当初からお世話になっている、鹿児島の高野養蜂場さんから購入させていただきました(鹿児島で採蜜しています。)
5月に仕込開始という、養蜂家さんの在庫が一番少ないタイミングでもあったため、高野養蜂場さん経由で、鹿児島県を拠点にする養蜂家から、東北に移動して採蜜した百花蜜も使用しています。
５月の仕込かつ今季の梅雨の異様さも相まって酸が上昇し、発酵が緩慢になるなど苦戦も強いられましたが、なんとか1stロットにふさわしい形に仕上がったのではないかと思っています。
また今後につながる経験も得られたので、今から秋以降の醸造が楽しみです。
▼今回の造りについて
鹿児島に移住する前に造っていたミードでは、蜂蜜のみで自然発酵させるための道筋が分かったもの
の、�）�蜜を多く使用しなければならず、単一な味わいになってしまうこと �⊃Г稜擦に�蜜を使用する必要がある一方、それによって酸化時の香りにクセが生まれてしまうこと、の２点を課題として持っていました。
それを克服すべく、�／緤�量を若干多くし、発酵挙動を遅らせながら様々な菌による混入をあえて許すこと、�⊃Г稜擦に�蜜は半分量に抑え、残りは香味の綺麗な百花蜜を使用すること、を決断しました。
そしてそれを実現するために、まずは色が濃くポテンシャルの高い蜂蜜のみで2週間ほど発酵させ、ある程度の酵母数を確保した上で残りの蜂蜜を加えて仕込むという、日本酒の段仕込みに近いかたちでの発酵を行いました。
結果として、最初はかなり良い感じの発酵をしていたのですが、今年の梅雨がかなり不順かつ短期だったのもあり、蔵が異様な湿気を持ってしまったからか、発酵挙動が変わり、酸上昇とアルコール発酵が緩慢になるという形になってしまいました。
その状態で瓶詰めを行うこともできたわけですが、もう少し引っ張ってより酒らしくしたいという思いからギリギリまで粘り、最後にはまた発酵も少し復活し、何とか形になったのではないかと思っています。
今回は瓶内二次発酵も期待してみたのですが、結果としてはやや微発泡…？程度のニュアンスとなってしまいました。
よく冷やして飲んでいただくのが良いと思っています。
また発酵が緩慢になってしまった要因の一つとして、前半の仕込でアルコール度数の耐性が高くない酵母を増やしてしまったのがあると考えています。
次回は前半の仕込み部分をもう少し長くとることで、改善できる可能性があると思っています。
▼創業までの経緯
1997年埼玉県うまれ。
東京工業大学在学中にWAKAZE 三軒茶屋醸造所との出会いから休学し、木戸泉酒造・土田酒造へ研修ののちWAKAZE入社。
その後は大学を中退し三年にわたり製造責任者を務める。
白石酒造への共感からルーツの無い鹿児島に移住し、農と醸の現場を学んだのち2024年nobanaを創業。
WAKAZE在籍時に個人プロジェクトとして小規模製造販売していたミードの専門醸造所を新築でいちき串木野市の山あいに設立。
2025年5月より醸造開始。
▼nobanaについて
nobanaは、国産の蜂蜜を山あいの蔵で自然発酵させることにより、蜜蜂と微生物がもたらす多様な要素がつめこまれた、生き物の魅力があふれるミードを目指しています。
中山間部集落の旧公民館跡地だった荒地を整備し、そこに小さな醸造所を構えました。
使用するのは、加熱処理をしていない貴重な国産蜂蜜です。酵母を加えず、補助剤も使わずに、蜂蜜と蔵に眠っている微生物によって自然発酵させています。
酒造技術よりも原料そのものが持つポテンシャルに焦点をあて、引き出すことで、日本の風景を映すミードを醸造します。
実は、蜂蜜だけで自然発酵を進めるためには、色の濃い蜂蜜が欠かせません。
しかし市場では、アカシアやレンゲなどの黄金色の蜂蜜が好まれ、昔ながらの濃色の蜂蜜は敬遠されがちでした。
発酵に必要というだけでなく、実際に食しても力強さを感じるには、色の濃い蜂蜜も不可欠だと感じられます。
また、何よりそういった原料が見過ごされているのは、とてももどかしい思いでした。
小売では人気の出づらい蜂蜜を使うことで、養蜂家さんの助けにもなりたいと同時に、見過ごされてきた力強い原料を活かしたお酒が、ミードという形で実現できるのではないかと考えています。
将来的には、耕作放棄地での養蜂や植樹、これまで活用が難しかった在来果実の利用にも取り
組みたいと思っています。
自然やお酒が秘めている原始的な魅力を、nobanaのお酒を通じて発見していきます。
nobana ミード醸造---鹿児島県いちき串木野市
